技術がないは言い訳
投手が試合に出るためにやってはいけないことは幾つかあります。今後の記事でも一つ一つ記していこうと思いますが、本日はその中でも最も重要なことがあります。
投手が試合に使われず、控え投手に甘んじてしまう大きな要因は、
打たれるべくして打たれるから
です。
何をいまさら・・・と思われるかもしれませんが、大半の投手というのは、この理屈を理解していない投手が多いです。
打たれるべくして打たれ続けているから、監督以下スタッフ、ベンチの選手、守ってもらっている選手からの信用を失っています。
つまり、周囲の人間の信用がなくなると試合には出場できなくなります。
それは、剛速球を投げれば試合に出場できるのかというと、まったく違います。
どれだけ速い球を投げようと、打ち込まれて試合を壊してしまうような投手は出場できません。
100km/h前後の投球をしていようと、打者に打たれなければ関係ありません。一昔前で言うと、オリックス(現オリックスバッファローズ)で活躍されていた星野投手なんかが典型でしょう。
最速130km/h前後の速球で、プロ野球選手を打ち取り続け、楽天ゴールデンイーグルスの監督に決まった梨田監督に、
梨田昌孝は「ストレートが一番速かった投手は?」という雑誌の取材に対し星野の名を挙げて「あまりにも速く感じて金縛りのようになった」
という逸話までも残させる投手が現実にいたわけです。
つまり、「技術がないから」というのは言い訳にしかなりません。打たれるべくして打たれていることに気づいていないのは「投手」のあなた自身です。
打たれるべくして打たれる理由
打たれるべくして打たれている理由は簡単です。
なぜなら、
一生懸命に渾身の力を振り絞り、打者に真っ向勝負を挑んでいるから
です。
必死に抑えよう抑えようと頑張っているから
です。
この傾向が強い投手ほど、調子がいい時は良くても、一度打たれ始めたら止まらなくなる、という傾向があります。
そんな投手いませんか??
では投手のあなたに質問です、
「打たれるべくして打たれる」時はどんな時でしょうか?
答えられるでしょうか?
この答えをもっていない投手というのは、エースをはることは難しいでしょう。なぜなら必ず調子の良し悪しがあって、悪いときでも抑えるのがエースだからです。
でも安心してください。
今、答えをもってなくても、今から考えればいいんです。監督やコーチから与えられるものをそのまま受け取るだけではなく、自分で考える癖をつけてください。
それでは勉強しましょう。
CASE STUDY
あなたはコントロールはそこそこ良い投手と仮定しましょう。
現在、試合中でマウンドにたっています。
コントロールはそこそこ良いはずなのに、2ボール0ストライクのカウントになってしまいました。
このとき、あなたは次のボールにどんなボールを投げるでしょうか?
ランナーやイニングによっても変わってきますが、今は特にその辺は加味しないで考えましょう。
2ボール0ストライクは打者に完全有利なカウントです。その時の打者の心理はどうなっているでしょうか?
打者は自分の得意とする球種、コースを待っています。
それなのに、その打者が得意とする球種やコースに投げてしまう投手はまずダメですよね!
そもそも、この打者心理を考えない投手は調子が結果に直結してしまいます。
では次に思い浮かぶ疑問としては、
その打者が得意とする球種やコースはわかるのでしょうか?
データーなどを取っておけばあらかた分かるかもしれませんがそうでなければなかなかわからないと思います。
だからといって考えることをやめてはいけません。
野球は確率のスポーツ。
打者がこのカウントで狙っている球種とコースは、9割以上
「真ん中周囲のストレートのみ」
だと断言します。
ということはそこ以外に投げておけば1割以下しか打たれることはないという計算になります。
つまりストライクが欲しいからといって臆病になって投球する必要はありません。
打者が狙っているコースから外れている可能性が高いところに自信を持って投球することです。
このケースでは、平行カウントから投手有利のカウントになるまでは同様の考え方で大丈夫です。
狙う範囲、狙う球種の数は、カウントによって打者も変えてきますが基本的に同じと考えましょう。
この打者心理を知るだけで、同じケースで打たれる可能性というのはぐっとさがります。
試合に出られないのは考えないから
今回の記事でとりあげたのはある一つのケースにおいてです。
野球にはもっと無限大に様々なケースが存在しています。野球とはそのあらゆるケースを埋めていくスポーツです。
そしてそれは試合中だけ考えればいいことではなく、前準備においてもやるべきことはたくさんあります。
ID野球を体現した野村元監督は「試合前に7割勝負がついている」と言うほど、前準備を大切にされていたそうです。
つまり、打たれるべくして、打たれる理由、試合に出られない理由は、
自分で考えないから
これにつきます。
たまたま打たれてしまうこともあるでしょう。しかし、周囲の人間にはそのたまたまというのは分かります。技術がないという言い訳をやめて、脳に汗かき考えましょう。
「技術」とはそんなに狭い考え方ではないはずです。