肘の故障の原因は肘にあらず
ピッチャーが故障しやすい代表的な身体の部位として「肩」と「肘」があげられます。まさに本サイトのタイトルにもなっているわけですが、なんと肘を痛める大部分の原因が「肩」にあったってご存知ですか?(もちろんそもそもフォームの問題っていう理由もあるのですが、そちらに関しては後ほど記事にします。)
だいたい医療や現場で問題になることは問題が発生した箇所をみて原因を取り除くケースが多いのですが、根本的な原因はその周辺にあります。
ダイエットでいえば、脂肪吸引しても不摂生を繰り返していればリバウンドするのと同様です。
さて話を戻して、肘が故障する主な原因は「肩関節の柔軟性低下」が原因になっていることが多いんです。
身体はしなりを調整する
例にたがわず、少し小難しい話を一つ。投球動作を行う時に肘の故障の原因となる身体の動きについて少し記します。
まず肩関節の動きとしては、外旋と言われる、肩が外側に回旋する動作があります。これは投球フォームではどの時の動作なのかというと、「一番しなる時」の動作です。
この肩が一番しなり、弓のようになった動作の時に、肩のしなり(外旋)がうまくできない(柔軟性がない)と、体は同じだけのしなりをどこかの部位で生み出そうとします。
そのしなりを生み出すことになりやすいのが肘であり、。その結果、肘へのストレスが増大し痛みを発生させてしまうものがいわゆる野球肘と呼ばれるものです。
よく、肘を痛める原因は、「肘が下がるからだ!!!」とか「インステップしているからだ」とか言われますがそれもこの「しなり」の動作に関わってくるからです。
肘が下がったり、インステップをすると、肩関節のしなりが出にくくなります。肩関節のしなりが出にくくなった状態でも同じだけしなりを生み出そうと体はするので、その分、「肘」に負担がかかり痛みが出てきます。
これだけが野球肘の原因ではありませんが大きな原因の一つです。
その証拠として、肩関節の柔軟性を上げていくだけで、肘の痛みが軽くなり、やがて痛みがなくなっていくという事例は沢山見てきました。
それでもなかなか良くならないということであればフォームの部分で、どういう風に改善していく方法がベストか話し合い、考えながら修正していけば肘の痛みは無くなっていきます。
その他の原因
その他、野球肘の大きな原因として考えられるのは、上腕三頭筋(二の腕)の硬化です。
先程の肩のケースと同様に、投球動作の中で、しなりの時からリリースするまで肘は徐々に伸びていきます。
この時に二の腕の筋肉は引き延ばされながら縮んでいくという筋肉の収縮形態(エキセントリック収縮)をとります。この状態は疲労が抜けにくい状態です。
疲労が抜けにくくなると筋肉は硬くなりうまく働かなくなるので、その代償として、肘に痛みが出る傾向があるようです。その証拠に、上腕三頭筋を緩めることで、肘の痛みが消えた事例が多数あります。
まとめ
このように投手が肘を痛める原因は、肩関節の硬化、上腕三頭筋の硬化の2点が大きな原因だと考えられます。
日頃から肩の関節の柔軟性の獲得と、上腕三頭筋の柔軟性の獲得は肘の痛みを軽減する、肘に痛みが出ないようにする特効薬の可能性が高いです。
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今回の記事でも、野球経験のない医療現場や、医学的知識の低い治療家の業界においては気づきにくい部分というのが多数あります。そのような原因については今後記事にしていきたいと思います。