ピッチャーがスピードボールを投げるだけなら意外と簡単
投手であるならば、スピードボールを投げられるようになることは、非常に魅力的なことです。
投げられるようになりたくなることは当然のことで、プロのスカウトも、まずは球速から見ていることが大半です。
そんなスピードボールを投げるための方法論は、世の中にはたくさん溢れかえっています。
しかし、どんな方法であっても考え方としては同じです。
それは、
様々な力のベクトルを集約しボールに伝わるようにする
ことです。
要するに、無駄な所に力を使わずにボールを投げる一点に全ての力が伝わるようにすれば言いわけです。
スピードボールを投げるその前に考えること
しかし、ここにはいつも大切な概念が抜け落ちてしまっています。
それは、
故障や怪我のリスクについては考えていない
ということです。
投手にとって大切なことは、
故障・怪我がなく、効率的に、スピードボールを投げるためのフォーム
を手に入れることです。
「二重振り子投法」に隠された危険性
スピードボールを投げる、フォームの一つとして「二重振り子投法」と言われる投げかたがあります。
どのような投げ方かというと、イメージは「けん玉」の要領です。
「けん玉」から、「糸」と「ボール」の部分だけを切り離し、糸の端を持ち振り回します。
その振り回した状態で「糸」の中心くらいに指をぶつけると、回転の円が小さくなりけん玉の回転速度が高まります。
この概念を応用した投げ方が「二重振り子投法」といわれ、実際に球速を高めることができます。
しかし、「肩関節」を痛めやすいというデメリットを常に孕んでいます。
特に「棘下筋」の疲労を促進させ、その疲労による「関節」の不安定性が高まることで、「インピンジメントシンドローム」を引き起こす可能性を高めます。
投手がスピードボールを求めるだけでは成功しないかもしれない
スピードボールを投げられる投手というのはたくさんいても、その故障や怪我のリスクについて考えている人はほとんどいません。
怪我を発生させやすい投げ方でスピードボールを投げている選手もたくさんいます。
器質的な強さを持ち合わせている人もいますが、いずれは故障します。
また、根本的な話をしてしまえば、いくら150km/hのボールが投げられても、ただ早いだけでは、打者も慣れれば簡単に打つことができます。
また、故障してしまっては、試合で活躍することはできません。
そのため一番大切なことは、
「肩関節」にとって優しい大前提でスピードボールが投げられる方法を模索すること
です。
そんな方法については別の記事に記しているのでそちらをご確認ください(『最も必要なのは「筋肉」でも「足腰」でもない ~スピードボールを投げるために必要なこと~』)。
仮にスピードボールが投げられなかったとしても、打者に速く感じさせる方法もあります。
そんな手段を考える方が建設的でいい場合もあります。
打者を豪快な剛速球で打ち取ることは理想的かもしれませんが、その理想の先には明るい未来はないかもしれませんね。
あなたは投手として、野球選手として何を実現させたいですか?
その上で、トレーニング方法や、フォームを決めていきましょうね。