野球肩がノースローで悪化する理由
常識で考えれば、医師の言いつけ通りノースローの期間も守ったにもかかわらず、悪化するなんて誰も考えません。
しかし、現実としてノースローによって野球肩が悪化してしまう例が頻繁に起きています。
その原因を知るには、まず痛みが出る前と出た後の肩関節の状態を知る必要があります。
そもそも肩関節に痛みもなく投球できている時はどのような身体の状態を意味しているのか考えたことがあるでしょうか。
それは、
投球用の肩関節になっている(脳が投球用の肩として認識している)
という状態です。
この状態から肩関節が痛くなり、ノースローを一ヶ月したとしましょう。
すると、その選手の肩関節は「投球用の肩ではなくなっている」状態になります。
仮にこの時に診断上、炎症が引いたとして野球肩ではない状態になっていたとしましょう。
すると医師から投球許可がでるため、ほぼすべての選手がすぐに全力投球を行います。
悪いことに人間の身体は優秀なので、すぐに適応し、全力投球ができてしまうでしょう。
しかし、その選手の肩の状態は「投球用の肩ではない」状態です。
そんな状態で野球肩になる以前と同じ感覚で投球をしてしまうとどうなるでしょうか。
明らかに準備不足なので野球肩を再発してしまうでしょう。
再発で済めばまだましな方で、異なった場所も同時に痛めてしまうケースが頻発します。
これでも一度痛みが引いたから野球肩が治ったという認識かもしれません。
しかし
野球選手としては再発してしまえば治っていないのと同じこと
です。
むしろ悪化してしまっては無意味どころか時間の浪費です。
医療関係者と野球選手の間に生まれるギャップは「再発してしまえば治っていないのとは同じこと」をどれだけシビアに考えられているかの差によって生まれます。