肩の傷害は5段階
野球選手、とくに投手にとって肩の傷害は、選手生命にとって致命的になる可能性を孕んでいます。
今回の記事は少し、小難しい内容にはなってしまいますが、できる限り、肩の傷害が発生する前に、一読しておいてください。
傷害について分からない方はひとまず以下の記事をご覧ください。
それでは、本題の、野球選手の肩の傷害に関して、怪我の具合を5段階に分割して説明したいと思います。
1.日常生活では痛くないが投げると痛い(キャッチボールで肩が温まると痛くなくなる)
2.日常生活で痛いときもある(キャッチボールで肩が温まると痛くなくなる)
3.日常生活で痛い(投げても痛いけど我慢は出来る)
4.日常生活で痛い(投げると痛くて我慢ができない)
5.日常でも痛くて憂鬱(全く投げてれない)
数字が大きくなるごとに、軽度のものからだんだん重症となっていきます。
私の経験上、[2]より悪くなると、全治1年と見ておいたほうがいいと思います。
それくらい肩の傷害は治りにくいです。
つまり、[1]の段階で適切な治療を行わないと、肩の傷害というのは選手生命を縮める故障になってしまうということです。
医師や通常の治療家の方であれば、③〜④でも全治3ヶ月くらいと判断をするかと思いますが、そんな簡単にはいきません。
リハビリなどを通じて、可動範囲などは正常値となり痛みもほとんどなくなるので投げていいと言われるでしょう。
しかし、いざグラウンドでボールを投げると「激痛」がはしるというのがオチです。
これは想像で話しているわけではありません。実際に私が10年前に経験していることです。その結果は引退です。
こんなことにならないためには、遅くとも[2]の段階で、1週間のノースローの上で治療を徹底的に行って、2週目には治療と平行して投球を開始します。
投球しながら治す必要が野球選手の肩には必要不可欠です。どちらか一方だけでは治りません。
肩関節の構造について
肩の傷害を語る上で、肩関節の構造についての理解は必要不可欠です。
実際の名称を覚える必要はありませんので、これだけ多くの骨・関節・筋肉・神経が関わっているのだ、と認識する程度で読み進めてください。
肩関節とは一つの関節の名称ではなく、実際にはいくつもの関節の、複合的な総称を肩関節と呼びます(
肩鎖関節、胸鎖関節、肩甲上腕関節、第二肩関節、肩甲胸郭関節の5つの関節の総称が肩関節となります)。
まず肩関節に関わる骨は、上腕骨、肩甲骨、鎖骨、肋骨ですね。
筋肉はたくさんありますが、肩腱板と言われるインナーマッスル、三角筋や上腕の筋群や首から関連する筋肉などです。
これらの骨や筋肉によって関節が機能しています。
ここに神経が関わることで実際の繊細な動きができています。
肩関節がどうして重要度として高いのかというと、肩関節はその他の関節とは異なり様々な方向に動きます。
この可動を生み出すためには、不安定な関節である必要があります。そのため、たくさん動くがゆえに傷害にもなりやすいというのが特徴です。
便利だからこそ故障しやすい
肩関節は様々な動きを実現するために、不安定な関節だとお伝えしました。とても便利な造りになっています。
しかし、便利ということは、それだけ使用される頻度も高く、可動域が複雑であるほど、負担はより大きくなっていきます。
つまり、扱い方が上手ではないとすぐにヘソを曲げてしまいます。
こんな関節を使って常人には測れないプレーを繰り返すのですから、よほどちゃんとした扱い方をしないと、簡単に壊れてしまいます。
そのため最低限の構造等のイメージを頭に入れておく必要があり、イメージを持つだけでも怪我などへの考え方も変わってきます。
ぜひ参考にしてください。
そして可能であれば[1]の段階で、最低限でも[2]の段階までに、適切な処置をして頂ける方に治療をうけてください。
その際にはこの記事を見せて、その方に実際の所を聞いてみてください。経験則(とくに野球経験者で肩の怪我の経験がある方)からくる話であれば、その方にじっくり話を伺ってください。
もし相談できる相手がいらっしゃらない方はお気軽にLINEアカウントあるいはFacebookアカウントまでご連絡ください。
早期治療に勝るものはありません。痛みがとれても我慢はしないでください。私の二の舞にならないためにも・・・。