肩は消耗品なのか?
野球選手、とくに「投手」であれば、「肩」は生命線です。
様々なトレーニングをして「肩」を強くしたいと思いながらも、「肩」を披露させて故障してしまうのは怖いと感じているのが投手です。
なぜなら、「野球肩」になってしまったら、ただでさえ短い野球人生が突然に終焉を迎えてしまうからです(『野球肩は治らない~あなたはそれだけの覚悟をもって対策していますか?~』)。
そのため、「肩」の「ケア」や「メンテナンス」のために、様々なストレッチや、気遣いを行っていると思います。
つまり、
野球選手の「肩」は消耗品である
という考え方が野球界に定着しています。
しかし、「肩」は当然ながら大切にすべきものですが、この「消耗品」という考え方をベースに持っているのであれば非常にもったいないことをしてしまっています。
【野球肩の対策】「野球選手の肩は消耗品」は嘘だった・・・?!!
野球界では定説的に言われているこの言葉。
実は、嘘だって知ってましたか?
いつから言われるようになったのでしょうか・・・。
球数制限だとか投球制限だとか・・・アメリカから入ってきたのでしょう。
「セットアッパー」や「クローザー」といったジャンルの投手も、ここ20年くらいで定着したように思います。
ですが、
肩は消耗品ではありません。
昨年までプロ野球で活躍していた「山本昌」投手が信じられない年齢まで投手として現役を続けていました。
横浜ベースターズの黄金期の監督だった権藤さんは現役時代に
「権藤、権藤、雨、権藤」
と言われるほど、雨が降らなければすべて投げるといった今では考えられない投球ローテーションでした。(というかローテしていない。笑)
他にも過去には、プロ野球選手でダブルヘッダーを2試合完投した投手もいました。
この事実を確認しただけでも、肩は消耗品といえるでしょうか?
昔の人が異常なまでに強靭な身体をしていたのでしょうか?
むしろ現代人の方が栄養価の高い食事をしているし、身体も一周り以上大きくなっています。
つまり、状況で言えば大差ない・・・あるいは今の方が良いぐらいのはずです。
【野球肩の対策】原因は適切な投げ方をしていないだけ
「肩は消耗品」という情報を100%正解だと考えても、成長期にこの考え方を持っていることは、とりわけもったいないことをしています。
人間の成長期には、「体力」、「技術」ともに最も伸びる時期です。
投げるための「筋肉」、「体力」、「関節」の動きなどが最も身につく時期です。
そこで、「投球制限」、「球数制限」をしてしまったら・・・・考えただけでも非常にもったいない話です。
とは言え、やはり故障してしまうのは怖いので、「肩」を大切に扱い、過保護なまでに守ってしまう気持ちも理解できます(かく言う私も「野球肩」が原因で引退しています)。
しかし、「野球肩」になってしまう原因は、「投げすぎること(つまり「消耗」)」が最大の原因ではないと知ったらあなたはどうしますか?
肩が「故障」を起こす理由は、
適切なフォームで投げられていないだけ
です。
「適切な」というのは決まった形を意味しているわけではなく、
身体に負担をかけないフォーム
を意味しています。
そして、成長期にはとくに
理にかなっていない投げ方をすると傷害を起こしやすい
傾向にあります。
しかしあくまで、「理にかなっていない投げ方」をしている場合に限られる話です。
つまりは理にかなっている投げ方をすれば、投げなきゃもったいないという結論となります。
肩は消耗品ではありません。
消耗させるような投げ方をするから消耗品となっているだけなのです。
もちろん疲労などが原因でフォームが崩れ、崩れた状態で投げ続ければ、それは故障につながります。
しかし現実として、「山本昌」投手のような年齢まで投手として活躍する選手がいることを忘れてはなりません。
それと同時に、小学生や中学生で「肩」や「肘」の故障で野球人生を諦めなくてはいけなった人たちがいることも忘れてはならない事実です。
【野球肩の対策】適切なフォームとは決まった形のことではない
しかし、ここで注意して頂きたいことがあります。
おそらく大半の方はこの記事を読んだ時に以下のようなことを考えると思います。
適切なフォームがどんなフォームか知りたい
もし、このように考えているのであれば、思考が停止してしまっています。
なぜなら
適切なフォームとは人それぞれだから
です。
自分の身体を適切に使うためには、自分で調整していく中で見つけていくしかありません。
人間の身体は人それぞれ異なるため、一人として全く同じ動きが効率的であるわけがありません。
それにも関わらず、指導される内容が「好投手」をベースに「動作を真似した」ものが大半であるため、結果的に大半の選手には当てはまらない「投げ方」を強要されてしまっています。
その結果、無理なフォームがその選手の身体に大きな負担をかけてしまい、「野球肩」などの故障につながってしまっています。
一つ言えることとすれば、
可能な限りリリースの瞬間までリラックスした状態をつくり、リリースに100%の力を伝えること
を目指すことです。
【野球肩の対策】一番の責任は指導者にあり
これらのことを考えた上で、とても責任が重大になってくるのは、「指導者」の存在です。
練習をさせないと選手は成長しないが、適切に行わなければ、故障をさせてしまいます。
まさに、選手の人生を担っています。
選手の肩を消耗品にしないように、適切で、安心して、いくらでも投げることができる投球フォームを教えてあげてください。
また、選手の皆さんは安心していくらでも投げられす投球フォームを研究し身につけてください。
「肩は消耗品」ではなく、「肩が消耗品」にならない投げ方があると思って追求してください。
野球肩に対する知識や対策がコチラにまとめられているので参考にしてください(『野球肩が治らない?! ~野球肩への対処法・予防法まとめ~』)。
また、「ケア」や「メンテナンス」方法についてはコチラを参考にしてください(『【野球肩の対策】野球肩をホームケアで未然に防ぐ方法』)。