投手の果たすべき目的は一つだけ

投手の果たすべき目的は一つだけ

職業柄、野球関係者の人に会う機会が多いのですが、以下の質問に端的に答えられる人はほとんどいません。

その質問とは、

投手が果たすべき目的はなんですか?

というものです。

選手は当然のこと、指導者であっても答えられません。

では、投手が果たすべき目的とは何でしょうか。

それは、

試合に勝利するための試合を創ること

です。

何を当たり前のことを・・・と思われましたか?

では、日々の練習や投球内容を思い起こしてみてください。

本当に「勝利」のために練習していますか?

投手の目的はいつしかそれていく

純粋に投手の目的を考えれば、極端な話で言えば、スピードが遅かろうが、コントロールが悪かろうが関係ありません。

9回フルイニング投げるだけのスタミナがなくても構いません。

その選手がもつ最大の武器を使って相手チームを0点に抑えられるのであれば、過程はどうだって構いません。

しかし、現実はどうでしょうか。

多くの投手の特性の一つに「自己中」という特性があります。

むしろ「投手」はそれぐらいの神経が必要だと言われるほどです。

良い言い方をすれば「責任感がある」とも言えます。

投手はマウンドで常にひとりぼっちです。

そのため、そんな中でも耐え抜くためには「自己中心的な考え方」も必要なケースがあるのかもしれません。

しかし、多くの投手はどんな投手に憧れて練習しているでしょうか。

9割の投手は剛速球が投げられる投手に憧れるでしょう。

豪快な投手の方が男気があって格好よく見えます。

その結果、ブルペンでの練習は何も考えずに投げ込み続けます。

そして筋肉をたくさんつけて速い球を投げようとがんばります。

・・・気づかれましたか?

気づけば、投手の目的からそれてしまっています。

どこかでは「チームの勝利に貢献すること」と思いながらも、実際の練習にはまったく反映されていません。

「速い球を投げる投手」=「勝つ投手」ではありません。

投手の本当の目的は「点を取られないこと」です。

投手が点を取られなければ、試合に負けることは絶対にありえません。

全部の打者を打ち取ればいいのです。

野手がエラーをして失点を許すなら、すべての打者を三振にとればいいのです。

と極端な例になってしまいましたが、投手の本来の目的と現実がずれてしまってはいけません。

どうしても目の前のことに集中しすぎて忘れてしまいがちになりますが、常に「勝つ投手は何なのか」という原点に戻るようにしてください。

すると自然に「今何をすべきか」が見えてくるでしょう。

その答えが正解か間違っているかは問題ではありません。

間違っていれば修正をすればいいだけです。

ただ「剛速球」を投げるだけが投手の目的ではないし、自分の思ったところにボールが投げられるのが投手の役割ではありません。

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