野球を指導するなら知っておいて欲しいこと
野球人は小さい頃から大人になっても、いつまでも野球のことばかりを考えてしまいます。
そして、自分でプレーすることがなくなっても、指導者として野球に関わり続けることが少なくありません。
野球が好きで好きで、野球から離れられないというのは素敵なことです。
しかし、現在の野球界にとって、そんな野球人の存在が悪影響を及ぼしてしまっています。
それは
野球が好きすぎるせいで視野が狭くなってしまっていること
です。
野球が好きでナンバーワンのスポーツだと誇りに思うことと、他の人の意見を聞いたり取り入れたりしないこととは別の問題です。
そして特に
指導する立場にある人間は野球界に染まりすぎないフラットな物事の見方をする必要がとくにある
ということを忘れてはいけません。
もっと簡単にいえば野球以外の勉強をすることが大切だということです。
野球の勉強は、引退するまでにやってきたことなので、それ以外のことを学ばなければ成長はありません。
中でも野球界に染まった人が学ぶべきなのが
人に物事を伝える勉強をすること
です。
野球界の指導者は人に物事を伝えるのが苦手です。
自覚があればまだましな方で、多くの人は自分が下手だということにすら気づいていないのではないでしょうか。
人に物事を伝えるのは技術です。
大切なことなのでもう一度言います。
人に何かを伝えるためには、それ相応の技術が必要です。
一般社会では、ターゲット(相手)を自分の思い通りに動かすような、対応の方法(話し方、話すタイミング、言葉遣い)を勉強しています。
ところが野球一筋であればあるほど、伝え方を学びません。
というより学ぶ必要性に迫られることがありません。
なぜなら後輩たちは、あなたが何を言おうと「ハイ」と元気よく答えてくれます(『日本の野球は軍隊養成所』)。
しかし、これだけは忘れないでください。
指導されている選手たちは返事をしていても何を言われているのか分かっていません。
選手は何人もいる中で、指導者は1人です。
人それぞれの考え方や、処理能力、理解できる言葉や、理解できるような状態にあるなど全てが異なります。
しかし、指導者は1人しかいません。
その1人の考え方だけを全員に押し付けようとすることが指導者の仕事ではありません。
指導者は、選手の心理状況を適切に判断し、選手のパターンをしっかりと把握し、どんな言葉を使い、どんな口調で話し、タイミングやシチュエーションで話すことが一番影響を与えられるのかということを常に研究しなくてはいけません。
選手を指導することに正解はなく、結局は常に勉強し続ける向上心を持つことが大切です。
指導者の方々も冷静になって考えれば、過去に指導された時に同じ思いをしていた経験がありませんか?
今まさに同じことをしていると一度自分を振り返ってみた方が良いのではないでしょうか。