ある投手がたった2年間で25km/hの球速を上げたトレーニングに対する考え方

ある投手がたった2年間で25km/hの球速を上げたトレーニングに対する考え方

先日記した『ある投手が2年間で25km/hの球速を上げた筋トレより大切な考え方』の続編記事です。

前回の記事では球速を上げるために重要な考え方の概要部分について解説しました。

球速を上げるためには

単純な筋トレをするよりも身体の使い方を学ぶことの方が重要だ

とお伝えしました。

中でもとくに

・右胸の前〜肩関節前面
・左腰部後方
・右股関節前方(右投手の場合)

の3つのエリアの筋肉の使い方が大切であるとお伝えしました。

先日の記事では概要的な部分だったので、本日は「筋肉」の特性に関してより深い理解と、25km/hの球速アップに成功した選手のトレーニングに対する考え方を学びたいと思います。

続編での記事になるので前回の記事をまだ確認されていない方は、この記事を読む前に確認しておいてください(『たった2年間で25km/hの球速を上げた筋トレより大切な考え方』)。

野球選手に必要な「筋肉」の使い方を知ろう

まずは、「筋肉」の特性を「筋トレ」の時と、「動作」の時に分けて考えていきましょう。

「筋トレ」の時の筋肉の動きと、「動作」の時の筋肉の動きは異なります。

「動作」は

各筋肉、各関節、各神経、各骨格などが総合的に働き連動しながら最終目的を実現

します。

ポイントは「連動」です。

つまり、一部の「筋肉」が強いからといって伝達が非効率であったら最終目的のエネルギーは大きくなりません。

むしろ一部の「筋肉」を鍛える行為は、伝達の効率を下げる可能性の方が高いということを忘れてはいけません。

ちなみに、野球選手で言う「最終目的」とはインパクトの瞬間やリリースの瞬間のことを意味しています。

それに対して「筋トレ」は、一部の筋肉を肥大化させる行為です。

つまり

「筋トレ」をすると「動作」における伝達の効率を低下させる可能性がある

ということです。

野球選手にとって必要なことは「動作」における筋肉の動きを活発にすることであることは間違いありません。

重量挙げの選手のように、どれだけ重いモノを持ち上げられるかを競うわけではありません。

この「筋肉」の使い方の違いがあるからこそ、ボディービルダーが一流のバッターやピッチャーになることができない理由です。

ちなみに、こんな記事を記すと必ず返ってくる反論があります。

それは

俺は筋トレをやりまくってムキムキになったから球速が上がった

という反論です。

こんな反論があった時には必ずこう答えます。

その時にあなたは本当に筋トレだけをやっていたのですか?

と。

「筋トレ」にも様々な種類があるので、「筋肉」や「動作」の特性を理解した上で行っているトレーニングであれば効果的かもしれませんが、俗にいう「筋トレ」では「動作」のパフォーマンスは上がりません。

大半の選手が「筋トレ」によってパフォーマンスが上がったと思っているものは、まったく別のトレーニングによる結果であることが大半です。

むしろ「筋トレ」がそれらの効果的なトレーニングを阻害してしまっていることに気づいていません。

「筋トレ」を辞めたほうがパフォーマンスが上がるような選手はゴロゴロ存在しています。

野球選手にとって必要な「動作」のエネルギーを最大限にするために必要なこと

では、人間が「動作」において最大限のエネルギーを発揮するためにはどうすればいいのでしょうか。

それは、

筋肉が効率的に引き伸ばされ、あるポイントで筋肉の持つ特性によって短縮すると同時に若干の力感を伝えること

です。

少し小難しく書きましたが、ゴムをイメージすれば分かりやすいと思います。

引き伸ばしたゴムを離した時にゴムは縮みながら短くなります。

その縮んでいる過程で、縮んでいる方向に対して力を加えるということです。

ポイントはゴムの特性に対してエネルギーをプラスしているところです。

筋肉はゴムの特性と類似しているため、引き伸ばせば勝手に縮みます。

その収縮するきっかけにエネルギーは必要ありません。

筋肉が収縮するところに対してエネルギーを付加させることが大切です。

すると筋肉の特性を最大限に使い、各部を効率的にエネルギーが伝達し、最終目的のエネルギーを最大化させることができます。

人間が「動作」をする時に一部の筋肉だけを見ていると、「筋肉」の特性が見えなくなってしまいます。

野球選手に必要なのは「動作」なのか「筋肉量」なのか、答えは明白ではないでしょうか。

エネルギーの伝達が効率的な「動作」ができていれば、その「動作」を繰り返していれば、必要な「筋肉」は自然と鍛えられていきます。

ある投手がたった2年間で球速を25km/hアップできたのは「筋肉」の特性を理解し「動作」の追求をしたから

では、先ほどから例題にあがっているMAX125km/hであった社会人野球の選手がMAX150km/hまでたった2年間で球速アップに成功したトレーニングについて考えていきたいと思います。

答えを言ってしまえば、

「筋肉」の特性を理解し「動作」の追求をしたトレーニングを行ったから

です。

本日の記事で記した「筋肉」の特性を理解し、今までやっていた「筋トレ」をすべて辞めました。

辞めた本人も当初は半信半疑だったので怖かったようですが、結果は思った以上に早く表れたので継続させた結果、たった2年間で25km/hの球速アップを実現することができました。

では、どのようなトレーニングをしたのでしょうか。

ここで思い出していただきたいことは、球速アップに関わる筋肉のエリアです。

・右胸の前〜肩関節前面
・左腰部後方
・右股関節前方(右投手の場合)

の3つでしたね。

この3つのエリアを「筋肉」の特性に照らし合わせて「動作」にポイントをおいて考えていったわけです。

つまり、

「右胸」、「左腰」、「右股関節」に関わる筋肉群が、どのタイミングで引き伸ばされ、短縮し始めるポイントを感じ、その短縮に合わせて力を入れたらいいのか

を追及したということです。

つまり、投球という「動作」を追及したということです。

筋肉一つ一つを細かくトレーニング(筋トレ)するのではなく、「筋肉」を「エリア」として捉え、そのエリアがどうすれば効率的に働くのかということを考え、トレーニングを行いました。

一つの筋肉を肥大化させるのではなく、エリアの筋肉を効率的に扱えるようになった結果として25km/hの球速アップに成功しました。

今ではその選手は、身体に対する概念、トレーニングに対する概念が一遍してしまっています。

では、そろそろ具体的にどんなトレーニングをしたのか気になっていると思います。

それは次回の記事にて記していきたいと思います。

お楽しみに。

<<<前回の記事 『ある投手がたった2年間で25km/hの球速を上げた筋トレより大切な考え方

次の記事>>> 『ある投手がたった2年間で25km/hの球速を上げた具体的なトレーニング方法


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