野球選手は左右対称にトレーニングしてはいけません
皆さんトレーニングをする際に、左右の対称性を意識してトレーニングをしていないでしょうか。
これは野球選手だけに言えることではありませんが、
身体のバランスを考えて左右対称にトレーニングしなさい
と言われることが多いと思います。
でも実はこれ、どう考えても不可能なことを言っています。
というよりも、人間の身体を左右対称にトレーニングする意味はありません。
なぜなら、
人の身体はそもそも左右対称にはできていないから
です。
そもそも左右対称にできていない人間の身体を左右対称にして良いことはありません。
人間の身体は左右対称でない状態で絶妙にバランスがとれているものです。
さらに左右対称に鍛えても意味がないことが分かりやすい例として、
右投手と左投手の身体の使い方は対称ではない
ということをご存じでしょうか。
右投手と左投手の違い
では右投手と左投手とでは、身体の使い方がどう異なるのでしょうか。
その答えの前に、まず腕の長さ、足の長さ、内臓の造りを考えてください。
肺は左右対称ではありません。
心臓は左側に、肝臓は右側に、腸は時計まわりに・・・など必ず左右対称ではありません。
それにも関わらず、トレーニングにおいて「動作」や「筋肉」を左右対称に行っても逆にバランスを崩してしまうことになります。
これらの人間の特徴を踏まえて考えていくと、右投手と左投手では腰の使い方が異なってきます。
右投手の腰の回転は「横」に、左投手の腰は「縦」に動かのが正常な動作の形になります。
つまり、右投手が肘を無理やり高くあげることは故障を招く可能性を高めることになります。
反対に、左投手は高く肘をあげること自体は可能ですが、下げることは難しくなります。
もしこのルールを覆そうと思ったら、体幹の使い方から変えていかなくては合理的な動きはできないでしょう。
野球のルールがそもそも非対称
さらにもっと根本的なことを考えましょう。
それは、
そもそも野球というスポーツ自体が左右対称ではない
ということです。
打ったら必ず一塁に走ります。
各打席で1塁方向に走ったり、3塁方向に走ったりといった左右対称に走ることはありません。
この時点で左右対称を求めるスポーツではないことを感覚的にご理解いただけないでしょうか。
体の使い方、運動の仕方、考え方も含めて左右の投手では異なってくるので、対象にする考え方を止めることが、効率的で合理的な考え方です。
この非対称性はバッターも同様です。
左打ちと右打ちでは全くフォームは変えなくてはいけません。
左右対称に戦わないスポーツで左右対称に鍛えることは無意味だと思いませんか?