野球肩が発生するまでの過程を知ろう
野球肩になるまでの過程を知るためには、まず肩関節の構造を知りましょう。
肩関節は、人間の身体にある関節の中でもとても複雑な仕組みをしています。
なぜなら、人体の関節の中で一番の可動範囲を誇っているからです(自分で関節を色々さわってみると予想以上に他の関節の可動域がないことに気づくはずです)。
それと同時に、たくさんの動きを実現するために、動かすための筋肉もたくさん存在します。
前に動かしながら横に動いたり、横に動かしながら下に動かしたりなど、その度に様々な筋肉が働きながら動作を行っています。
それだけの可動域を実現する肩関節は「多軸関節」と呼ばれています。
さらに、動いているのは関節や筋肉だけでなく、関節の軸をずらさないように関節内のセンサー(神経)が働き、脳や脊髄とやりとりも行っています。
常に指令とフィードバックが行われており、絶妙なバランスで動いているのが人間の肩関節です。
野球肩に代表される肩関節の故障は、肩関節の動作構造の中で何らかの外的な要因や神経上のやりとりに弊害がかかることによって発生しています。
それらの何らかの弊害は、非効率な投球動作の繰り返しや、筋肉の疲労などにより関節が正常とは言えない条件になった時に発生します。
肩関節のバランスが何らかの要因で崩れた時、人間の身体は関節周囲の筋肉を硬め、コリとなって関節の可動域制限を行い関節が通常以上に動かないようにします。
この状態を皆さんは筋肉が張っていると感じています。
しかし、これは関節を守るために身体が自然と反応することなので、仮に筋肉をほぐしたところで、筋肉を固めている原因を取り除かなければ再び固まってしまうのは想像に難くないでしょう。
この筋肉が固まることを関節可動域制限と呼んでいます。
さらに、関節可動域制限が起きると、その他の部分に負荷をかけている状態なので、関節可動域制限状態で無理な動作を続けていくと、次はいよいよ痛みという形で異常を知らせてくれます。
この痛みこそがまさに野球肩です。