静止時の話と動作時の話では意味が変わってくる
某記者があるプロ野球選手へのインタビューを通して記した記事で事件が発生していました。
これは該当記者の勘違いした解釈によって記事の通りに選手が実行してしまったとすると大きなリスクを伴ってしまう内容でした。
その内容とは、
投球時に足首がつま先立ちした際に痛みが発生することを聞いた事に対して「底屈(ていくつ)時」と表現していたこと
です。
「底屈(ていくつ)」とは、つま先立ちをする時の足首の状態を表現している言葉であることに間違いはありません。
しかし、野球選手は常に「動作」の中での痛みを表現しています。
そのため、底屈にも様々な形が存在しています。
例えば、
・ただ底屈した時に痛みが出る
・爪先立ちした時だけ痛みが出る
・力を抜いてだらんとした時に痛みがでる
・誰かに他動的に底屈された時だけに痛みが出る
など様々な状態が考えられます。
しかし、記事の中で同じくプロ野球選手は、リリースの時に痛みが走ると言っているので、足首が底屈の形であっても、正確に言えば「背屈(正反対の動作)」の時に痛みが発生していると推測できます。
記事の中で、足の骨に「骨棘(こっきょく)」と言われる棘(とげ)状の突起が出ていることによって痛みが発生していると記されていますが、その骨棘と痛みは無関係と言ってもいいでしょう。
なぜならスポーツ選手で、さらにトップアスリートクラスになれば、骨棘は体のあらゆる所にあって自然です。
骨棘があるから痛みが出たのではなく、痛みがあったところを見たら骨棘があっただけです。
仮に記事の内容を真に受けて治療をしていたとしたら治るものも治らないでしょう。
記事で紹介されていた選手であれば、関節ポジションとそのポジションを作るための筋肉の調整(一般的に言われる強化やトレーニングではない)を行えば、大して時間をかけることもなく復帰することができるでしょう。
ちなみに今回は「故障」の内容について、表現方法の多様性をお伝えしましたが、何も「故障」だけでなく「トレーニング」や「技術論」といった一つ一つの物事に対して全てに当てはまることです。
人から言われたことも、一度自分で咀嚼し、試してみた上で本当に自分に必要なことなのかどうか検証しなければ、本質を理解することはできないでしょう。