足腰の強さとは
投手の方々であれば、来る日も来る日も、走り込みをされていると思います。むしろ、強迫観念にかられて走り込みをしない日があると不安になってしまう人すらいます。
と、ここで考えて頂きたいことは、まずその走り込みはなんのためにやっているのでしょうか?
おそらく大半の方々は、昔から定説的に語られる
強靭な足腰が、一流の投手を生み出す
という考え方から、足腰を鍛えてらっしゃるのではないかと思います。
これって本当でしょうか?
今回の記事のタイトルでもある「投手にとっての足腰の強さ」が一流の投手にとって必要であるのかどうかを検証するためには、まず「足腰の強さ」がなんであるのか、またその中でも「投手にとって必要な」足腰の強さとはなんなのかを考えていく必要があります。
足腰の強さとは
では、まず「足腰の強さ」とはなんでしょうか?
高いジャンプ力がある
短距離走が早い
長距離走ってもばてない
スクワットが超人的にこなせる etc
これらは確かに足腰が強いと言えます。
では、これらの「足腰の強さ」があれば、投手として一流であると言えるのでしょうか?この理屈で言えばマサイ族は世界ナンバーワンの投手になることができる可能性をもっています。笑
上記のような強靭な足腰をもっていたとしても、投球すればイマイチ・・・というのは投手あるあるの話です。
足腰の強さが投手に与えるメリット
では、投手にとって足腰の強さは必要ないのか、という話になるかと思いますが実はそうでもありません。
強靭な足腰をもっていることによってメリットもちゃんとあります。それはこの3つ。
肩や肘の怪我の防止
ボールへの力の伝達がうまくいく
リーリースポイントの安定
あれ、だとしたら走り込むことによる「足腰の強さ」は投手にとってパフォーマンスの向上につながっているじゃないか・・・!という風に思われるかもしれませんが、実はそう簡単な話でもありません。
投手の中で、「長距離走らせれば陸上選手並みなのに控え投手」、「バネはすごいのに控え投手」というような投手が少なくないのが現実です。
投手にとって必要な足腰の強さ
では、投手にとって必要な足腰の強さが意味する本当のところはなんなのでしょうか。
それは、
「足腰の使い方」
です。
投球時の腕を振った後に、振り抜いた腕のブレーキングをする作用として足腰が重要な役割を果たしています。
腕を振った際の腕本体のブレーキを行うのは肩の後方の筋肉群なのですが、この筋肉群はその振った腕を止められるほどの筋力はありません。
その負荷を分散してサポートしてくれるのが下半身、つまりは足腰なんです。
この腕のブレーキとして上手く作用するような使い方ができるというのが、野球選手にとっての足腰の強さです。
足腰が上手く働かないと、肩の後方の筋肉群が目一杯働き過ぎてしまうので、疲弊しやすくなり、動きが悪くなり、パフォーマンスを低下させ、最悪のケースとしては、怪我や故障を誘発してしまいます。
身体には骨や筋肉がありまあすが、骨と筋肉の関係性がよいと、身体の安定につながります。この安定が、リリースポイントの安定を生み、ボールへの力の伝達がうまく行われることになります。つまりはパフォーマンスの向上につながります。
この安定性を保つのに筋力というのはあまり関係しておらず、筋力量に至っては日常生活+α程度でもクリアできてしまいます。むしろ、必要以上の筋力が存在すると、その筋力に依存しすぎるため、逆にバランスを崩す要因になり、安定性が損なわれる可能性すらあります。
大事なポイントとしては力の伝達がうまくできる、安定する関節ポジションを作るということになります。
結論としては、投手にとって足腰の強さが必要ないわけではなく、その足腰の強さがなんであるのかという捉え方を今一度、検証する必要がある、ということです。
野球業界で一般的に言われるような「足腰の強さ」という認識は甘すぎで、野球選手にとっては無駄な要素を多分に孕んでしまっています。
野球選手にとって必要な、「試合でのパフォーマンスを高める」のためのトレーニングなので、ただ漫然と筋力量を増やすための走り込みなのであれば、少しでも筋力を休めてあげることを考えた方がパフォーマンスは上がるのでやめてしまいましょう。
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