小学生のころはみんなジャイロボール
一時期、「ジャイロボール」というボールがよく話題にされていました。
全盛期の松坂大輔投手、今中慎二投手、藤川球児投手、最近で言えばダルビッシュ投手もジャイロボーラ―の一人です。
何かすごいストレートのようなイメージですよね。
ストレートだけで、次々と打者から空振をとる豪快な投手のイメージです。限られた投手に与えられた権限のような球です。
投手の中の投手・・・と思いきや、実はここには皆さんが知られざる事実が隠されています。
その事実には少年野球の練習を見に行くと発見することができます。
もっと言うと、内野ノック本塁送球時にキャッチャーをやることでもっと分かります。
それは
ジャイロボールってみんな野球を始めた頃は投げている
っという衝撃の事実です。
そうなんです、実は、
小学生はみんなジャイロボーラー
なんです。
こんな素晴らしい技術を全員が持っています。
しかし、残念なことに大人になるにつれ徐々に投げることができなくなっていってしまいます。
ジャイロボールと意識した上で投げることができる大人はとても少ないからです。
ジャイロボールの実際の良さが分からなければ、どのボールがジャイロボールなのかもわかりません。
さらに、野球界でよく言われるようなキレイな回転の投球フォームを教えてしまいます。
すると、子ども達はその教えを素直に実行していくため、だんだんジャイロボーラーは減っていくのです。
しかし、何かの原因で、その教えを守らなかった、守ることができなかった一部の選手がジャイロボーラーとなって投球しています。
ジャイロボールとは
ところでジャイロボールとはどのような球のことなんでしょうか。
ジャイロボールを投げてたと言われてもそのジャイロボールが何なのか分からなければ話にもならないですよね。
ジャイロボールとは、
「ピストルの弾のような螺旋回転をして放たれるボールのこと」
を言います。
どのようなメリットがあるのかというと、空気抵抗が少なくキャッチャーミットまで届くため、ボールが重力によって沈みにくくなっています。
ピストルやライフルから発射される弾丸がすぐに落下してしまうと、狙いたいところに当たる可能性が低くなることから、誤差が少なく、飛ぶ回転として螺旋回転を採用しているそうです。
このピストルやライフルの弾丸と同様の回転で投じられる球がジャイロボールの正体です。
野球界的に言えば、「伸びがある球」、「手元で伸びてくる」、「初速と終速の差が小さい」なんて言われたりすることもあります。
そんなすごい可能性を秘めた球を小学生の大半は投げているのに、気づけば当たり障りない回転のボールになっているとは・・・もったいない。
ジャイロボールの投げ方
では、そんなジャイロボールとはどのようにして投じられているのでしょうか?
これを知ることで一応、投げる理屈は備わるとは思いますが、無理してなげることはおススメしません。
故障のリスクも高めますし、分かったからといって中々投げられる球でもないからです。
だからこそ、もともと投げていたものを修正してしまうのはかなり惜しい球です。
以下読んで頂ければその理由が分かっていただけます。
では、ジャイロボールを投げる際のキーポイントとなるところはどこでしょうか。
それは、肩関節です。
肩関節と肘先の柔軟性は非常に大切になってきます。
アクセレレーション期に入った時、コッキングアップによってできた肩関節の高さをなるべく崩さないようにします。
その後、体が回転してきた時にできる限り、トップにあるボールのポジションを変えずに、肩関節のしなり、肘のしなりを形成するようにします。
この時の肩関節はリラックス状態が望ましいです。すると身体の構造上、ボールを持つ手の甲は体の外側を向いています。
この上記のポジションが取ることが第一段階です。
上記のポジションが取れた時点でアクセレレーション期の加速が始まります。
アクセレレーション期の加速が始まると、「肩関節の外旋」からの「適度な内旋動作の始まり」に加えて「前腕の回内動作が絶妙にマッチ」した時、肘が伸びきることなくリリースを迎えます。
このアクセレレーション期の動作により肩甲骨から綺麗な螺旋状を描き指先まで力の伝達が行われます。
続いてリリースに移ります。
ジャイロボールのリリース
アクセレレーション期を終えるとリリースを迎えます。
リリース時のポイントは、人差し指の内側がボールから離れるように、手の平を体の外側に向くようにリリースしていきます。
先ほどのアクセレレーション期とこのリリースによってジャイロボールとなってボールが投じられます。
肩関節、肘関節、手の絶妙なタイミング、それに付け加えると体幹や下半身の力の伝達がうまくいくことで成し遂げられる神業的なフォームによってジャイロボールは投げられます。
文字におこすと、とても複雑な動作であることが伝わるかと思います。
さらに言うと、ジャイロボールを投げる投手というのは、上記の一連の動作は、すべて無意識状態で行っています。
ジャイロボールはそれほど難しいボールということです。
一番簡単にジャイロボールを投げる方法は、小学生時代から何も変えることなく大人になることです。
これが一番の近道であることは間違いありません。
だからサボる選手が大成したりすることが発生したりするのかもしれません。
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