投手のアイシングに関して
ここ最近アイシングに対しての質問が多数寄せられます。
「野球肩革命所」では基本的にアイシングをおススメしていません。(『アイシングは決して治療にはなりませんが・・・ ~アイシングの種類と方法~』)
とはいえ、チーム事情や、その他の要因のためアイシングをせざるを得ない状況があることも理解しております。
そのため、先日あったご質問に対してお答えしておこうと思います。
それは
アイシングはどこの部分をやればいいのでしょうか?
という質問です。
この質問に端的に答えるとすると、
人それぞれです
としか言いようがありません。
投手が投球後一番疲労しやすい箇所はどこでしょう?
それは誰にもわかりません。
なぜなら人によって、フォームは様々なだからです。
つまりフォームが様々であれば人によって疲れやすい部分は異なるということです。
一歩譲ってアイシングを行うとしても、全員が同じ場所を冷やしている現状は絶対的におかしいことです。
アイシングは必要かどうかを考えて欲しい
冒頭のような質問が多数寄せられるわけですが、そもそもの前提から考えて頂きたいです。
なぜ投手はアイシングをするのでしょうか?
ちなみに私は現役時代、アイシングマンと言われるほどアイシングをしてきました。
しかし、人の生理的な機能を学んでみると冷やす行為は、メリットよりもデメリットの方が多いということが分かってきたため、アイシングを治療に行いません。
投手に限って考えていくと、下半身という人体最強の力を発揮できる部分に、一番負荷を分散させる投げ方を行った時に、肩や肘の炎症や損傷はまずないでしょう。
しかし、実状として上記のような効率的な投げ方をできている投手は稀です。
つまり、力を出す大半を、腕や上半身に依存しているフォームで投球している人がほとんどです。
そうなった際に、肩や肘の負担は、当然高まります。
人によっては毎回投球するたびに炎症を引き起こす選手もいるかもしれません。
こういったケースであれば、短時間サッとアイシングを行うということはいいかもしれません。
ただ炎症というのは、治癒するために必要不可欠な要素なので、できる限り短時間で行う方がいいでしょう。
また、球数によって投球数が少ない時は冷やさない、という考え方もあって当然です。
もっと考えれば、フォームによって、投球数によって、練習、練習試合、公式戦なのか、連投、リーグ戦、トーナメント戦なのか、先発、リリーフなのか、などによってもアイシングの頻度、方法も考えていくことが望ましいと言えます。
ただ闇雲に投げたからアイシングを行うという、ナンセンスな方法はもうやめましょう。
体は進化しますのでアイシングの方法も進化できるように考えることは大切です。
「今の自分により最適な方法はなんなのか」を常に考えて選択できるような訓練が必要ですね。
そして、一番考えて頂きたいことは、
「物理的に弱い部分に過度な負荷がかかり続けると損傷する可能性が高まるため、物理的に強い部分に負荷を分散させ、弱い部分は補助的に働かせるような身体の使い方をする」
ということを大切にしてください。