「肩関節」は「不安定」だからこそ「凄い」
「肩関節」とはいうのは、非常に「不安定な関節」です。
しかし、その「不安定さ」こそが、「肩関節」の「凄さ」を実現しています。
「不安定」を「凄い」と解釈することはあまりないような気がします。
「肩関節」は「多軸関節」と言われるほど様々な動きを実現しています。
その自由な動きは、不安定な関節構造をしていることで実現しています。
反対に、その「不安定な構造」を酷使する野球選手の「投球という動作」は、「肩関節」のお陰で実現していると同時に無理をさせやすいために故障・怪我のリスクを高めることになっています。
肩関節は不安定だからこそ自由な動きを実現する
こんなイメージをしてみてください。
ちょうどゴルフのティーアップの際のティーの上に乗ったボールです。
ボールとティーの受け皿の関係が肩関節のイメージに似ています。
ちょっとボールに触れるとボールは落下してしまいますよね。
でもおかげであらゆる角度へボールを打つことができます。
「肩関節」はちょうど上記のような状態に似ています。
「ボール」が「上腕骨頭」、「ティー」が「肩甲骨」を表します。
この不安定な状態の周りを「靭帯」などの「軟部組織」で、可能な限り安定するようにサポートしています。
こんな「肩関節」の状態で140km/hを投げているというのが、尋常ではないことをご理解頂けたでしょうか。
しかし、「肩関節」が不安定であるからこそ、人体一の可動範囲を実現し、人間の腕の自由な動きも実現してくれています。
もし、この「肩関節」が、「肘」や、「膝」の関節のような形状だったとしたら、野球というスポーツは生まれていなかってしょう。
というよりも腕を振るようなスポーツはまず存在しなかったでしょう。
野球選手が肩関節の不安定さに対して考えること
この「肩関節の不安定さ」を知った上で、野球選手にとって重要なことと言えば、
「肩関節」の自由度は残しておきながら可能な限り安定させること
です。
と言った話をすると、真っ先に「チューブトレーニング」のような「トレーニング」や「筋トレ」を思い浮かべるかとは思いますが、間違っても行わないでください。
これは全くのデタラメです。
「トレーニング」や「筋トレ」によって安定させると、自由度を損なうことになり、パフォーマンスを低下させ、別の部分への負荷が増すだけです。
では、どのようにすればいいのでしょうか。
それは、
安定するような軸を形成するために、ポジションをしっかりと取ること
です。
安定性とは、全く力が抜けた状態でも実現できます。
故障もせずにパフォーマンスを高めるには、肩周りの筋肉ばかりに頼るのではなく、もっと根本的なところから改善しましょう(『野球肩への対策はパフォーマンスを高める! ~「肩関節」のケアには「下半身」を緩めること~』)。
肩関節を安定させるために存在する「インナーマッスル」や「関節周囲の軟部組織」は、本来の働きというのがあります。
「チューブトレーニング」や「筋トレ」とは、その本来の働きを奪う行為です(『インナーマッスルがなぜ大切か知っていますか? ~よく分からず鍛えている人ばかりの野球界~』)。
「肩関節」が生まれた時から不安定であるという意味をよく考えてみましょう。
そうすれば「チューブトレーニング」や「筋トレ」などは自然と必要ないことが理解できると思います。