「右投手」と「左投手」を左右対称で考えてはいけない理由

「右投手」と「左投手」を左右対称で考えてはいけない理由

「右投手」の方にお聞きしたいことがあります。

それは、

「左投手」の「グローブ」を見たりはめたりした時に違和感がありませんか?

という質問です。

私が現役の野球選手だった頃に、「左投手」の「グローブ」にかなりの違和感がありました。

皆さんはどうでしょう。

なぜ突然こんなことを言い始めたのかと言うと、「右投手」と「左投手」は左右対称に考えられる傾向にありますが、両投手は全く左右対称ではないということをお伝えしたかったからです。

ひいては、人間の身体も「左右対称」でないことが当たり前で、「左右対称」に鍛える必要性がないことをお伝えしたかったからです(『左右対称に鍛える意味はない ~右投手と左投手の身体の使い方は非対称~』)。

先ほどの「グローブ」のハナシで言えば、違和感の正体は、

左投手用の「グローブ」は「ヨコ閉じタイプ」に近くなる傾向があるから

です。

これは、人体の特性を解釈していけば原因を理解することができます。

中でも大きな要因となるのは、「胸郭」という胸の中にある「臓器」のことです。

「胸郭」とは、「心臓」や「肺」、「食道」、「気管」などが主となっています。

そして「胸郭」の一部である「心臓」は中心からやや左方向に曲がって収まっています。

それを受けて、「左の肺」は心臓が収まるために「切痕(せっこん)」があります。

つまり「左の肺」は「右の肺」に比べ圧迫しやすい形状をしているということです。

これは9割以上の人間が多少の誤差があるとはいえ持っている特性です。

この人間の構造から考えれば、

「左手」は上げておいた方が身体的には楽な体勢になる

ということを意味しています。

「左手」を上げれば、「胸郭」が開くことになるため、本能的に「左手」を上げる「動作」を求める傾向にあるのではないかと推察することができます。

このことを踏まえた上で野球選手の「投手」に置き換えれば、

左投手は真上から投げ下ろすような投手が多くなる

ということが言えます。

実際に、左投手は上から投げ下ろす投手が、右投手に比べ多い傾向にあります。

その結果、「左投手」の「グローブ」の使い方は、「右投手」が「スライダー」を投げるようなイメージでひねっていくとスムーズに腕を振ることができます。

そのため、「グローブ」の形は「ヨコ閉じ」の傾向が強くなります。

これで「右投手」が感じる違和感の原因が判明しました。

そして何故このような「違和感」の正体のハナシをしたのかというと、

「左投手」は「上投げ」の傾向が強くなり、「右投手」は「スリークウォータースロー」から「下投げ」の傾向が強くなるのが自然

だということです。

あなたは「内臓」が野球の動作に関わっているというのを考えたことはあったでしょうか。

表面的なことは見やすいため考えたことはあっても、身体の臓器まで考えている人は少ないでしょう。

身体の中身を考えれば「左右対称」であることが如何に無意味か分かってくると思います。

むしろ「左右対称」にすることなど不可能で「左右対称」になっても良いことはないでしょう。


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