投手の投球で腕を加速させる唯一の方法
投手の誰しもが剛速球を投げられることに憧れます。
それもあってか近年では、高校球児のストレートの球速も軒並み140km/hを超え、25年前とは比べ物にならないほど投手の球速はレベルアップしています。
25年前は130km/h出れば速球派と言われていたことを考えれば、恐ろしいほどの変化です。
そこには様々な筋力トレーニングの進化による影響が大きいものの、筋トレによって得たもの以上に故障のリスクを高めてしまっていることを無視してはいけません(『投手が球速を本気で上げたいなら筋トレを辞めましょう。』)。
また、間違っても腕を振る意識を高めるようなことはしないでください。
では、どのようにすれば身体への負荷を無暗に高めることなく球速を上げることができるのでしょうか。
それは、
投球の際に指先の速度を上げること
です。
腕の速度がいくら加速されても、指先の速度が加速されていなければ意味がありません。
投球とは身体から伝えられたエネルギーをボールへと伝えることです。
下半身から上半身へと力を伝達し、肩関節から肘関節、手首などを通じて指先へと伝達していきます。
つまり、指先からボールへと伝えられたエネルギーの大きさによって速度が変化していることになります。
腕だけでも指先へとエネルギーを伝えることは可能ですが、腕よりも全身の力をエネルギーがロスすることなく伝えることの方が大きなエネルギーを生み出せることは当然のことです。
そして皆が忘れがちなことですが、各部の一つ一つのエネルギーを高めたとしても、各部の連携が適切に行えていなければ、最後の部分である指先のエネルギーに大きなエネルギーは生み出せません。
筋トレは各部の連携を分断してしまう恐れがあるため、野球肩革命所では野球選手の筋トレをおススメしていません(『野球肩を治療する前に野球選手に筋トレが無意味だと知ろう』)。
では、どのようにすれば各部のエネルギー伝達を効率的に行うことができるのでしょうか。
それは、
力を抜くこと
です。
人間の身体は力を込めれば込めるほど動作のエネルギーが小さくなり、力をぬけばぬくほど大きくなります。
「力をぬくこと」、「リラックスすること」は文字にすれば簡単でも、実現するのは簡単ではありません。