変化球と直球はどちらの方が決め球になるのか
高校野球のインタビューを見ていると「決め球」についてのインタビューをしている光景を見かけます。
そんな際に、返答する多くの高校生は「インコースのストレート」と答える傾向が強いように感じます。
インコースのストレートが決まる時は調子がいい・・・インコースのストレートが効果的に使えると投球の幅が広がる・・・といった解説のコメントも良く聞きます。
まさに野球界は全精力を上げて「インコースのストレート」を「決め球」の代表格なようにはやし立てています。
そのため「インコースのストレート」は「強気」、「逃げない気持ち」、「力強さ」、「エネルギー」といった言葉を連想させます。
しかしこれらは、あくまで「イメージ」にすぎないことを忘れてはいけません。
「決め球」とは、
その投手の中で、打者がコースや球種を分かっていても最も打ちにくい球
のことです。
それを「インコースのストレート」と一択で考えることはナンセンスです。
当然ながら「インコース」が苦手な打者がいるように「インコース」が得意な打者もいます。
同時に「アウトコース」が苦手な打者もいれば、「アウトコース」が得意な打者もいます。
また「インコース」が打ちにくい「カウント」もあれば、「インコース」が打ちやすい「カウント」も存在します。
さらにプロのレベルまで行けば「ストレート」を決め球にできるほど甘い世界ではありません。
ストレートを決め球にできる投手は、過去を含めても数えるほどしかいません。
それは、どんなに剛速球を投げていようとも「決め球」にできていない投手がいるため、大半の野球人からすれば意外に感じるかもしれません。
しかし野球界で活躍し続けている選手に本音のインタビューができたとすれば、ストレートを「決め球」だと思っている人は思った以上にいないでしょう。