自分の決め球がストレートでないことに気づいたのはクビ寸前
社会人野球選手時代の私はストレートに自信を持っていました。
当時の球速は143km/hほどで今となっては、一般的なスピードですが、当時ではどちらかと言えば速い部類に入ったので、恥ずかしながら自分のストレートに自信を持っていました。
しかし、現実は甘くはありませんでした。
相手も同じく高校野球の第一線で戦ってきた精鋭揃いで、大半が自身よりも野球経験に勝っています。
当然と言えば当然なのですが、簡単に抑えることができず、勝つこともできません。
たまに勝ったかと思っても安定して抑えることができず、悩みに悩み続けました。
そこに度々の故障も相まって、いよいよクビ間近になった時、なりふり構っていられなくなり思い切って自分のチームの打者にある質問を投げかけました。
それは
自分が投げるボールで最も打ちにくいボールは何か
という質問です。
すると、8割以上の野手から答えが返ってきた内容が予想外でびっくりしました。
ストレートに自信を持っていたのに、実際の打者は「フォークボール」が打ちにくいと思っていたのです。
さらに、
「なんであのフォークを投げないのかな?って不思議だと思ってたよ」
とまで言われる始末です。
自分自身の「フォーク」への印象は「打者を打ち取るためのボール」という認識でした。
藁をもすがる思いだった私は、騙されたと思って大事なカウントには全て「フォークボール」を多投しました。
初球、鬼門となるカウント、打ち取りたい時のボールなど10球中5球以上でフォークボールを投げました。
すると突然、1試合目から完封できたのです。
さらにその後も、安定して試合を組み立てることができるようになり、勝敗以上に試合を任される機会が増えました。
自分の「決め球」は完全に「ストレート」ではなく「フォークボール」でした。