選手の本音が聞けないと治療なんてできない
野球選手にとって、肩や肘の故障は致命的です。
選手はかなりナーバスになっています。
それは、高校や大学、社会人、そしてプロ野球とレベルが上がるほど、職業としてやればやるほど神経質になっていきます。
なぜなら、投げれなくなると野球をやめなくてはならない恐怖、生きていく術がぽっかりなくなる可能性を感じるからです。
その気持ちを医師や治療家、トレーナーが理解できなければ根本的な治療なんてできません。
このように書いてしまうと、彼らはきっと「知っているよ」と反論されるでしょう。
しかし、選手は感じています。
選手と「治療する側」に溝がうまれると根本的な治療はできません。
理屈を語られると選手は委縮し、「専門家が言うなら自分の感覚がおかしいのか・・・」と話すことを途中でやめてしまいます。
本気で治したければ、選手の耳をこちらに傾けてもらうことが大切です。
つまり、
選手の信用を得て選手自身にも協力してもらえるような状態を創ること
です。
そのためには選手の一つ一つ小さな悩みや、なかなか言い出せないことを、選手の発する言葉や表情から汲み取ってあげることが必要です。
そんな気持ちを示し続けることで、選手は少しずつ心を開き、伝えたいことを選手が聞き入れるようになります。
選手と治療側の信頼関係ができて初めて治療が始まります。
そんな関係ができるまでに、1日で築くことができる選手もいれば何年も要する選手もいます。
そんな選手に、可動域の数字や治療家のエゴ、治療方法の押し付けは無意味です。
「痛み」はあくまで故障の結果として現れているだけで、その「痛み」を取ることが故障の原因を取り除いたことではありません。
故障の原因は、フォームにあったり、そもそもの生活習慣に問題があったりなど多岐にわたります。
そんな原因を選手とともに探し出し解決することが本当の意味での治療ではないでしょうか。
どれだけ「痛み」を取ってくれても、再発を続けていれば選手にとっては何の意味もありません。