ピッチャーにアイシングは必要なのか
現代の野球では、ピッチャーが投球後にアイシングをするのが常識的になっています。
しかし、その「アイシング」は野球選手が求めているような効果を示していないことを今までお伝えしてきました。
◆『アイシングのリスクについて知っていますか?~本当は怖いアイシングの正体~』
◆『アイシングは決して治療にはなりませんが・・・ ~アイシングの種類と方法~』
◆『ピッチャーにとってアイシングは必要なのか? ~アイシングする時に考えて欲しいこと~』
とは言っても「アイシングをやめることができない」、「どうしてもアイシングしたほうが良くなる気がする」という選手に限っては仕方ないので続けてください。
しかし、身体的なメリットはほとんどないことを理解の上で行ってください。
野球選手がアイシングに求めている効果というのは、
疲労回復
が一番だと思いますが(というかこれ以外あるのでしょうか?)、目的が「疲労回復」なのであれば、意味がありません。
というよりむしろ逆の効果を与えています。
この機会に、「アイシング」についてすべてをまとめておきます。ぜひ大切な方にはこの情報をシャアしてお伝えしてあげてください。
ピッチャーにとってアイシングが必要なのかまとめ
「アイシング」を取り入れた経緯
アイシングがなぜこれほどまでにスポーツ界に、浸透したのでしょうか?
野球選手はチームの中で1日のうち1人以上は必ず誰かが「アイシング」をしています。
「アイシング」が「疲労回復」につながる原理として主張しているものは、
川の流れをせき止めて、せき止めたものを解放した時に一気にゴミと一緒に水も流れる
というイメージを筋疲労にあてはめて実現しようとしています。
加えて、神経的な鈍感を誘発することで痛みを軽減し、炎症を起こした部分の鎮静化を図ろうとするものです。
投手の投球後、慢性的な持病を持つ選手、外傷、張り、などには「アイシング」をするという流れが生まれました。
「アイシング」は疲労回復を促進しているのか
本当に「川をせき止めて一気に流すことで溜まったゴミが流れる」ようなことが身体でも起こっているのでしょうか。
これは体の生理現象として考えていくことで、「アイシング」の成否を判断することができます。
アイシングを行いながら患部を圧迫することで、毛細血管が収縮されるため、血流は乏しくなります。
この効果もあって、血液中の発痛物質や発痛促進物質が患部に届かなくなるので痛みを抑えることができまうす。
さらに神経的に興奮を抑制するので二重で「痛み」を抑える効果があります。
しかし問題は、
ダムのようにせき止めたのもを解放することで毛細血管に一気に血液が流入するか
と言う点です。
もともと血流には調整機能があるため、血液が流入しないのであれば、他の臓器への流入を促進します。
そのため、ダムのようにせき止めてもたまらないはずなのです。
つまり「勢いよく疲労物質などを流す」という概念は身体では実現されていません。
「アイシング」が疲労回復の妨げをしている?!
まだ、「効果がない」だけであれば、メンタル的な部分の補完として目をつぶることができるのですが、反対に「疲労回復」を阻害してしまっているため、おススメしていません。
冷やすことで血流阻害を起こすということは、
栄養や修復物質まで阻害する
ということです。
さらに「痛み」を抑えるということが身体に与える影響を考えたことはあるでしょうか。
「痛み」とは身体から脳に対して発せられた修復を促すためのシグナルです。
その「痛み」を取り除くということは、身体の自己回復を阻害するということです。
簡単に言えば、脳の判断としては、
「痛くないならそこに栄養や修復物質を送る必要はないよね」
という判断になっています。
身体は非常に合理的に働いています。
そのため上手く活用すれば、高いパフォーマンスを生み出す反面、一つ使い方を間違えれば素直に反応してします。
現実的に、アイシングをすると翌日投げれなくなるという投手を何人も見ています。
最年長勝利投手として有名な山本昌投手もアイシングをしないことで有名です。
「アイシング」とは「痛み」を取り除くが、疲労回復を促すものではないという認識が正しいのではないでしょうか。
アイシングが必要な時
とは言ってもここまで流行ってきた「アイシング」なので「アイシング」をしても問題がない箇所というものがありました。
それは、
治らなくても特に問題ないという箇所
です。
怪我の種類でいえば「打撲」や「打ち身」です。野球で言えば「ボールが当たった」、「どこかに打ち付けた」といった怪我に対してす。
しかし、野球ではほとんど使わないであろう場所に対してのみです。野球をしている最中にそれほど活動しない箇所です。
ここなら、アイシングをして万が一治りが遅くなったとしても、それほど野球には影響しないので「アイシング」して問題ありません。
問題は、そんな場所がほとんどないことですが。笑
つまり、「痛み」でどうしようもなく、どうしても外せない試合中などの緊急性がある時しか使いどころがありません。
さらに言えば、その「痛み」さえ、「アイシング」など使わなくても取り除くことができる治療家も存在しています。
と、考えれば、やはり「アイシング」はあまりやらない方がいいということになります。
「アイシング」のやり方
仮に「アイシング」を行う場合の方法について記しておきます。
1.氷嚢を使ったアイシング
「氷嚢に氷を入れてアイシング箇所にバンテージで巻きつける」という定番の方法です。
これは非常にどこにでも使いやすい方法で、関節や筋腹など大体どこの部分にも使えるアイシング方法です。
バンテージを使用することで、氷嚢の体絵の密着度が高いことも便利な要因です。
2.アイシング用サポーター
アイスノンを専用のアイシング用サポーターに入れて、それぞれ決まった部分に装着する方法です。
最近の甲子園などでも採用されている方法ですね。
この方法は残念ながら、メリットよりもデメリットの方が多いように感じます。
まず密着性が乏しく、完全に冷やすことができない、サポーターの形が決まっているので、他の部位には使用できないなどがあまり効果を発揮しない点です。
さらに言えば、値段が少々高めです。そのため、あまり使用はお勧めしません。
3.紙コップで氷をつくる
紙コップに水を入れ冷凍庫で凍らせた、アイスマッサージ用の氷を作って冷やす方法です。
これはメリットとデメリットが大きく分かれます。
メリットとしては、アイスマッサージができるということ。
アイスマッサージとは圧迫しながらマッサージしつつ、冷やしているので神経的な痛みは抑えることができます。
つまり、血行を活性化することができます。
デメリットとしては水が垂れてしまうため場所によっては、やりずらく、できないことも多いということです。
ちなみに肘や膝、足首、手首などで片方ずつ行う場合には最適です。
「アイシング」について検証する機会を!
「アイシング」についても、科学的に「否定論」が確立されてきています。
しかし、それでも野球界は「アイシング」を推進し続け、義務化する方向性に進んでいます。
スポーツ界から言えば完全に逆行していっています。
今までの記事でも、野球界の未来は「自分で考える」ことを強く主張していますが、「アイシング」はそれが分かる良い例ではないでしょうか。
ここに記されていることを知ってもあなたは「アイシング」をやり続けますか?
あなたの大切なお子さんに「アイシング」をススメ続けますか?
この内容を鵜呑みにしろとまでは言いません。
少なくとも、もう一度、本当に「アイシング」が必要なのかどうかを検証したり、情報を集めてください。
そのきっかけに本記事がなれれば幸いです。野球をしている大切な方には本記事をシェアしてお伝えください。
他の記事も参照して考えてみてくださいね。
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