投手に走り込みが不要だと知ろう
野球肩で治療に来る投手は決まって下半身がパンパンに疲労した状態です。
しかもその疲労度合いは走ることを本職にする陸上選手の比にもならないほどの疲労です。
野球肩を本気で治そうと思えば、肩関節ばかりみていても根本的には治りません(『野球肩を本気で防ぎたければ肩ばかり気にしていては意味がないpart2』)。
身体は連動しており、痛みが出る原因の大半はその他の部分が疲労により適切に機能していないからです。
これが野球肩を始めとする傷害(しょうがい)と呼ばれる故障の特徴です(『野球肩を治療する前に痛くなった瞬間が故障ではないことを理解せよ』)。
仮にこれらの知識がなくても、疲労させる原因であるトレーニングが野球選手にとって必要なものであれば仕方がない面も考えられます(『投手の全ては野球肩予備軍だから上手くなる』)。
しかし、
その代表格である「走り込み」が投手にとって必要ない
としたら非常にやっかいな問題です。
投手の方々であれば、来る日も来る日も、上達するために「走り込み」をされていると思います。
むしろ、強迫観念にかられて「走り込み」をしない日があると不安になってしまう人すらいます。
そんな気持ちは理解できるのですが、一度だけでも考えて頂きたいことがあります。
それは
走り込みはなんのためにやっているのか
ということです。
おそらく大半の方々は、昔から定説的に語られる「強靭な足腰が、一流の投手を生み出す」という考え方から、足腰を鍛えてらっしゃるのではないかと思います。
しかし、その事実を本当に検証したことがあるでしょうか。
「投手にとっての足腰の強さ」が一流の投手にとって必要であるのかどうかを検証するためには、まず「足腰の強さ」がなんであるのか、またその中でも「投手にとって必要な」足腰の強さとはなんなのかを考えていく必要があります。
そして本当に「足腰を鍛える」ことが投手にとってパフォーマンスを高める要因につながっているのかを検証する必要があります。