お父さん・お母さんにしか子どもの肩は守れない ~野球肩の原因を知る~

お父さん・お母さんにしか子どもの肩は守れない ~野球肩の原因を知る~

野球選手は「肩関節」に大きな負荷をかけてしまうスポーツです。

なかでも「投手」は、野球選手特有の故障である「野球肩」や「野球肘」に悩まされ引退を余儀なくするケースが後を絶ちません。

そのため「野球肩」や「野球肘」に対する知識は一向に野球界に浸透していないのが現実です。

対処法はとくに検証もされていない方法が繰り返され、ある方法が良いと聞くと取り入れてみることぐらいしか行いません。

その最たる例が「アイシング」ではないでしょうか。

「アイシング」は「疲労回復」に対してほとんど効果がないことが判明しているのに、広がり続けている現状を見れば、野球界の実状が見えてきます(『ピッチャーとアイシングの関係についてすべてを語る ~アイシングの必要な時と不要な時~』)。

さらに、選手本人は(特に小・中学生)年齢的に若いことが多いので、不調などへの配慮が乏しくなり、毎日過酷な練習を続けてしまいます。

そのため、本気で野球選手を成長させていきたいと考えるのであれば、指導者や親御さんである大人が、「肩関節」や「下半身」を中心とした身体のケア・メンテナンス方法を学び、気をつけてあげなくてはなりません。

中でも今回の記事では、親御さんの「野球肩」への知識を深める目的で進めたいと思います。

肩関節は消耗品ではありません

まず、「野球肩」への対応策を考えていく上で、一つ今まで常識とされてきた考え方を改める必要があります。

それは、

肩は消耗品である

という考え方です。

肩は消耗品なんかではありません(『【野球肩の対策】肩は消耗品ではない理由』)。

野球肩は、「ボール」を投げる量に比例して何かが摩耗していくようなことが原因でおきるわけではありません。

疲労が蓄積した結果により何らかの「障害」が出ていることに間違いはありませんが、投球数の数によって限度があるわけではありません(『【野球肩の対策】障害って何か知ってますか? ~野球選手の故障の9割は障害~』)。

野球肩を防ぐ方法はいたってシンプルなものです。

それは、

・肩関節を使ったらメンテナンスして疲労を回復すること
・肩関節の使い方を間違えない事

の二つです。

当たり前のことを・・・と思われたかもしれませんが、どちらも分かっているはずなのに、その対策にとっている方法を自身で検証している人が大変少ないことに問題があります。

分かりやすい例で言えば、「アイシング」は本当にイイのかどうか検証したことはあるでしょうか?

「アイシング」をした時と、しなかった時の違いを知っていますか?

その上で「アイシング」をするという選択肢をとっているでしょうか。

こんな視点にたってみれば、検証しなければならないことは無数のようにあるはずです。

野球肩の原因は肩関節にあるわけではない

野球選手が「野球肩」に陥る時というのは、「野球肩」が発生した瞬間や痛みが出た場所にばかり目を向けていては治る見込みはほとんどありません。

必ずその前提として

肩関節が正常なポジションにないフォームで投げていた

ということがあります。

ここで注意しなければならないことは、

正常なポイントというのは人それぞれ違う

ということです。

人間の身体が人それぞれ異なるため当然だと皆が思っているのに、理想のフォームといって指導者が矯正しようとします。

無理のある投球フォームで、投球を繰り返すことにより、「肩関節」の後方に位置する「棘下筋(きょっかきん)」という「筋肉」が疲労します。

「棘下筋」は「ボール」をリリースした後に、腕を止める「筋肉」の一つであるため、「エキセントリック収縮」(伸張生収縮ともいう)という、疲労しやすく・回復しにくい収縮タイプの「筋肉」です。

さらに「棘下筋」は「腱板(けんばん)」と呼ばれる、組織的は「靭帯」に近い組織の一つです。

そのため、あまり伸び縮みが得意ではない上に、血管分布も少なく、暖まりにくい「筋肉」です。

これもまた、「棘下筋」が疲労しやすく・回復しにくい「筋肉」である理由の一つです。

つまり、

「棘下筋」は使い方を誤ればすぐに疲労が蓄積され、回復されにくいため積極的に回復を促さなければならない

ということです。

そして、私は9割以上の「野球肩」の原因は、この「棘下筋」にあると考えています。

直接的に「棘下筋」を痛めることで「野球肩」と診断されているケースはあまりみないかもしれませんが、「棘下筋」が正常に動いていないことが原因で、他の関節や筋肉が無理をすることになり、最終的に炎症などの問題を引き起こしています。

「棘下筋」が回復しない状態を継続し、「棘下筋」が萎縮を始めると、「上腕骨」は外に開かれながら前方にずれていきます。

この状態のまま投げ続けると「野球肩」への道をまっしぐらです。

この時点で既に「野球肩」と捉えてもいいぐらいです(『【野球肩への対策】9割の投手が野球肩予備軍の選手だって知ってた?』)。

とはいえ、この時点では「痛み」などの分かりやすい症状が出ていることは稀なので誰も何の対処もとらないでしょう。

病院に行った所で「正常」というお墨付きがもらえるだけです。

しかし、その末路は「野球肩」です。

「野球肩」の原因が「肩関節」にあるのではなく、「野球肩」の「痛み」の原因が「肩関節」にあるだけです。

この違いをご理解頂けるでしょうか。

「野球肩」の本当の原因を取り除くためには

では、「野球肩」にならないためには症状がでるまでにどのような対処をしておけばいいのでしょうか。

ここまでお読み頂いた方はもうご理解頂けていると思います。

それは、

「棘下筋」の疲労を毎日取り除き、腕の「骨」、「関節」を正しいポジションに持っていく練習をすること

です。

そして冒頭でも述べたように、選手本人では対処しきれないので、指導者やご両親がケアしなければ防ぐことができません。

具体的な方法については次回以降にお話したいと思いますので、今回の記事では、まず「肩は消耗品である」という考え方を改めるために、「野球肩」の本質的な部分をご理解ください。

あくまで、野球選手の大半が「消耗品」のような「肩関節」の使い方をしてしまっているだけです。

「肩関節」を使ったらメンテナンスし、使用方法を間違えないという2点さえ守れば、特段壊れやすいモノではありません。

この2点は肩に限ったことではありません。

ほかの「関節」、「筋肉」においても同じことです。

中でも「肩関節」は自由度が高い「関節」であるため、負荷がかかりやすい構造をしているに過ぎません(『【野球肩の対策】肩関節が柔らかいから大丈夫・・・は嘘?!』)

投球制限をした所で防ぐことができるものではありません。

その人の身体にあった正しいフォームで、しっかりとケアができていれば、もっとたくさん練習をして上達することができるでしょう。

では、次回の具体的な疲労回復方法についての記事までご期待ください。

お父さん・お母さんにもできる野球肩を防ぐマッサージ方法【図解付き】※2016年9月15日20:30公開


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